けい。冬に桜の咲くところ出身。体内に7本のねじを持つ。2度の中国留学経験を持つ。中国語とその周辺をつれづれなるままに。


by johny_gee
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20090614 勝ち取れ! 何を? 協賛を!

 昨日、北京日本人学術交流会が開いたシンポジウム「日本人の中国留学再考」に参加してきました。北京で大学院に在籍する人などが集まって研究発表をしているそうなのですが、昨日の集まりは研究発表ではなく、中国で大学院に進む者への理解をもらうためにはどうすべきか、というようなシンポジウムでした。平たく言いますと、政府や企業から賛助金を引き出すにはどうすべきか、という話しだったのかな。
 わたしも北京で大学院に進んだ人間ですから、今も北京で研究を続けている人、あるいはこれから来る人というのは広い意味で仲間ですし、資金援助を受けてよりよい研究が出来るならとても嬉しいことだと思います。ので、敢えて昨日のシンポジウムに苦言と提言を呈させていただこうかと。



 まず、話しを聞いて思った感想をオブラートに包まずに言えば、正式な場を設けた上で愚痴をこぼし駄々を捏ねてみました、そういう集まりだったのかと。

 博士課程以上に在籍している日本人の方4名が、研究生活の現状などを訴えていましたが、ものすごく要約してしまえば皆さんがおっしゃっているのは「北京で院生生活を送るのは大変だから金をくれ」ということでした。少なくともわたしにはそう聞こえました。

 資金援助をしたとしてそれがどのように社会に還元されるのかが見えてこないと援助を受けるのは難しい、という意見が会場からも出ましたが、全くもってその通りだと思います。でも昨日は北京での院性生活がいかにつらいかしかアピールしてなかった、もしくは出来ていなかったと思います。北京で院生生活を送るのはつらいという意見はわたしも実体験者ですからもちろん分かります。確かにしんどい生活です。ただ、「つらいから資金援助を」っていうのはどうもピンと来ません。ちなみに具体的に話しに出てきた北京で院生生活を送る上でのつらさをいくつか挙げますと
 ・大学や教授の情報が(少)ない。
 ・情報があったとしても実情と違う場合が多々ある。
 ・中国政府が出している奨学金だけでは足りないし、バイトも出来ないので、経済的につらい。
 ・留学生と日系企業の交流がない。
 ・授業も中国語、論文も中国語、全て外国語でこなさなければいけない。
 ・政府も企業も中国で学術研究をしている者に対して関心がない
といったところでした。




 なんと言いますか、つらさを訴えるにしても随分と説得力がないなぁというのがわたしの正直な感想です。わたしは北京に来る前に河南省開封市で語学留学をしていましたので開封での留学生活と比べて書きますが、はっきり言って開封の大学と比べたら北京の大学の情報なんて溢れまくっていると言っていいくらいです。日本のサイトでもいろいろ情報は拾えるでしょうし、留学生なりが個人発信しているサイトもいろいろあります。開封にある大学なんてそもそも日本人がろくにいやしませんからホント情報源が限られています。中国語で各大学のサイトを見ればそれぞれの教授がどのような研究をしているのかというのも詳しく載っています。

 また北京にいれば日本の情報にもアクセスしやすい訳です。自分が調べている事柄に関して日本の文献ではどう書かれているか、論文を書く上では知っておかなければいけないことです。北京には日本語書籍の図書館がいくつかありますし、外文書店などで入手することも可能です。中国語の文献が欲しければ大型書店もたくさんあります。国家図書館もありますし、各大学がそれぞれ立派な図書館を持っています。ところが開封じゃそうはいきません。わたしの記憶では開封で一番大きな本屋でも2階建てが限度です。日本の書籍なんてもちろん売っていません。開封市図書館には行ったことはありませんが、まぁいずれにしても北京の図書館とは比べ物にならない規模の小ささでしょう。

 情報と実情が違う場合が多々あるというのも、まぁ別に北京に、あるいは中国に限った話しではないでしょう。程度の差こそあれ、日本にだってあるはずです。

 バイトに関しては、法律遵守の観点から見てどうなのかというのを無視すれば、北京ならいくらでもバイトの口はあります。時給100元でどうかとかいう話しはわたしのところにだって何度も来ました。そんなの開封にいたらそれこそ皆無です。

 企業との交流がないというのも、交流したかったらすりゃいいじゃないのって思ってしまいます。北京になんて日本企業の駐在員がうじゃうじゃいるんですから。わたしが開封にいた時、開封市にいた日本人はわたしたち留学生以外はたったおふたりでした。1人はうちの学校にいた日本語の先生、もう1人は海外青年協力隊で開封市の病院にいたリハビリ専門の看護士さん。「企業と交流って何?」って話しです。

 中国語でこなさなければいけないってのも、そりゃ中国にいるんですからねぇ。まさか他の国に行ったら日本語で授業をしてくれるって訳ではありますまい。

 関心が低いと言われましても、じゃ注目を集められるようなことをして下さいって話しだと思うんですけどね。ま、今回の活動がある意味その第一歩だったのかもしれませんけど。北京でしたらそれこそ日本大使館も日本領事館もあって政府関係者はいるわけですし、日本のメディア関係の方もわんさかいることでしょう。会ってちょっと話しを聞いてもらうという風にするにも敷居はそれほど高くないはずです。現に何か日本人の集まりの時に大使館の人に来てもらってスピーチをしてもらうなんてことはあるわけですから。開封で日本人の集まりがあるんで来てくださいって呼んだって大使館の人は来そうにありませんよ。

 こう考えてくると、つらいから資金援助をというのであれば北京にいる留学生よりもどうしたって地方都市に留学している留学生の方が優先順位は上になるはずです。更に言えば他国の方がもっとつらいって話しもあるわけです。

 わたしの大学時代の同級生でひとりスロヴァキアに留学して博士課程まで終えた子がいます。スロヴァキアってどこにあるか皆さん白地図で自信を持って指差せますか? 政府も企業もスロヴァキアに留学している日本人になんてそれこそ関心がありませんよ、きっと。日本人なんてちっともいないと言っていました。授業だってもちろんスロヴァキア語です。例えば古い文献を読むにしたって、中国語ならねぇ、ほら漢字ですから。しかも中国語の古文の読み方は日本人は中学・高校と一応習っている訳ですし。そんな知識は博士課程の研究には役立たんとおっしゃるかもしれませんが、スロヴァキア語の文献を読むことと比べたら義務教育で学んだ知識がどれだけ活かされることか。そんなところに女の子1人で留学してたんですから、北京に留学しているよりきっと何倍もつらいでしょう。つらさで資金援助をするかどうか決めるなら、じゃスロヴァキアの子にってなっちゃうわけです。あるいはもっときつい環境で留学している人だっているわけですから、そうなると北京に留学しているくらいでは全然つらくないじゃないかって言われかねません。じゃ、これをどうやって北京に向けさせるかと言ったら、やっぱりその重要性を訴える以外はないと思うんですよね。


 あと、「日本の諸々の研究助成金などが日本国内で研究している人間しか申請できないので、海外にいる人間にも枠を広げてほしい」という意見も昨日出たのですが、どうしてそういうことになっているのかを一応確認すべきなんじゃないのかなぁと思いました。それは昨日出た意見のように、政府も企業も中国あるいは広く外国で研究している人間に関心がないからなのか、関心はあって支援するかどうか検討した結果必要ないという判断が下ったのか、支援するに足ると思われる人物が見当たらないからしてないのか。
 吉川幸次郎が中国に留学していた当時(1928~31年)は日本政府から月額200円出ていたそうです。今の金額にしたら20万円位だろう、と本人が1960年代に言っています。1960年代の20万円が2009年のいくらに相当するのかよくは分かりませんが、200円を両替すると500元くらいになり、下宿代・食費・交通費を払っても100元にも届かず、残ったお金でとにかく欲しいと思った本は好きなだけ買えたそうです。
 吉川幸次郎みたいな人が今いるとして、研究費を援助してくれって言っても政府も企業も知らん振りというのでしたら、状況はかなり厳しいでしょうし、「はい研究費くらい出しますよ」ってことになるんだったら、現状で見向きされていないのはアピールが足りないか実力が足りないかってことでしょうし。


 更に言ってしまうと、まぁこれは問題を広げすぎな感はありますが、大学院なりで研究してるんだから援助してくれっていうのもどうなんだっていう思いがわたしにはあるわけです。わたしは今でこそ修士課程にいますが、もともと学術系を歩んできたわけではないこともあってか、いわゆる学問というものを特別視していません。あるいはその重要度が分かってないのかもしれません。
 ストレートに進んだとして博士課程と言えば25歳前後になるかと思いますが、例えばとある25歳の若者は勉強があまり得意でなく、中卒で働き出しました。現在している仕事は後継者不足に悩んでいる日本の伝統工芸を引き継ぐいわゆる職人の道です。この場合資金援助すべきは学者の卵なのかそれとも未来の職人なのかという問題があるわけです。
 今、部屋に引きこもって漫画ばっかり描いている人間があるいは未来の藤子不二雄かも知れないし、未来の宮崎駿かも知れない。今、バンド活動にのめり込んでいる人間が未来の坂本龍一かも知れない。
 漫画の専門学校に行っている人間と有名大学の大学院に行っている人間、どちらに資金援助をするかと言ったらそれはやっぱり大学院に行っている人間に援助しましょうよっていうのが、おそらくまともな意見でしょうけど、大学院にいて援助してもらう側の人間はそれを当たり前と思ってはいけないんじゃないかなぁと思います。

 あら、随分長くなっちゃいました。この辺でやめておきましょう。結論としましては、北京日本人学術交流会の皆さんにはもう少し戦略をうまく立てて、見事資金援助が獲得できますようがんばっていただきたいなぁ、と。

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by johny_gee | 2009-06-14 23:35 | 留学生活/留学生活/유학생활